@取材日記 第9回赤羽セミナー② 親の介護は突然やってくる 高齢化と介護の問題
くらしの相談会~年代別に終活について考えよう~」をテーマに第9回赤羽セミナー&無料個別相談会が2023年10月21日(土)、赤羽会館で開催されました。
赤羽の身近な専門家たちの話から、「くらしに関わる課題解決のヒント」をご紹介します。
ー登壇者ー
ファシリテーター:
税理士法人西川会計 西川豪康氏
パネラー:
赤羽高齢者あんしんセンター 藤井恭子氏
株式会社らいふ保険サポート 藤田顕也氏
赤羽法律事務所 氏家義博氏
親の介護は突然やってくる。高齢化と介護の問題
―赤羽高齢者あんしんセンター(地域包括支援センター)に相談するタイミングは?―
気になることがあるならば、ご相談いただければと思います。ただ、ご本人の様子がわからないと、私たちも一般的なお話に注視してしまうことがありますので、より具体的な状況をお伝えいただけるととても助かります。
回答:藤井恭子氏
―要介護になった時、介護保険ではまかなえないものがあると思いますが、介護に関して備えておくべきことは?―
ひとつに民間の介護保険で備えるということがあります。
保険の一番いいところは、少しのお金で大きなお金の準備ができることにありますが、国の介護制度の保険を使っても、そこにお金が必要になってきますので、民間の介護保険を備えておくことも考えておきたいですね。
最近の介護認定を受ける最も多い原因が認知症に関わる認定です。
新聞でも大きく取り上げていましたが、アメリカから認知症の進行を遅らせる「レカネマブ」という薬が入ってきました。非常に有効的だと言われていますが、薬価も非常に高く、日本円にして約390万円になります。
認知症に特化した保険なども最近では流布されていますので、そうしたものを使うのもひとつだと思います
回答:藤田顕也氏
―認知症などで、自分で意思決定ができなくなった時に、支援してもらう方法―
「成年後見制度」というのがあります。家庭裁判所で手続きを取り、本人に代わって財産管理や身上保護などの行為をする際の支援をしてもらう制度です。
また、ある程度のことは本人ができるけれど、誰かのお手伝いが必要な状況になった時は、「権利擁護センターあんしん北」がやっている地域福祉権利擁護事業を使ったサポートを受けられます。
回答:藤井恭子氏
―あんしん北には直接行けばいい?それともあんしんセンターを通した方がいい?―
どちらに相談に行かれても大丈夫です。
あんしんセンターにご相談いただいて、あんしん北のサポートを受けながら手続きを進めることもありますし、あんしん北を通さずに弁護士や司法書士のような方々と制度を使えるよう支援させていただくこともあります
回答:藤井恭子氏
―成年後見制度について教えてください―
法律では、例えば契約を結ぶときは必ずきちんとした意思を決定する能力がなければならないというのが全ての前提となっていて、意思の能力がないと契約を結んでも無効になってしまいます。
例えば、自身の資産を利用して施設に入居したいとか、不動産を売却するとか、大きな契約をする時に、ご自身の意思を確認されるため、意思決定能力がないと、お金があっても支払うことができない、施設に入る契約ができない、不動産を売ることができないという状況になってしまいます。
そういう場合に、法律上のサポートをする制度として「成年後見制度」があります。
基本的に後見人を付けられると、本人は一切契約ができなくなり、その代わりに後見人が全ての契約を結ぶ、あるいはそれに加えて通帳の管理や本人名義の資産を代わりに管理するという制度です。
回答:氏家義博氏
―段階的に後見人制度にしていくことはできますか―
成年後見人は、判断能力が全くない方のための最も手厚いサポート制度です。
判断能力が全くないわけではないが著しく不十分だという場合は、「補佐」という制度があります。
基本的には本人は通常通りのことができますが、不動産の売却とか、大きな借金をするとか、法律に絡んだ一定の行為をする場合は補佐人の同意を得ないと無効になるといった、多少程度の軽い制度になります。
回答:氏家義博氏
―どういう状態になったら、成年後見人の制度を検討した方がいいでしょう―
私見ですが、認知症の方でも世の中には後見人がついていない場合が圧倒的に多いと思います。後見人は多少使い勝手が悪くて、例えば弁護士が後見人になると月々の報酬を支払うことになりますし、後見を認めてもらうには医師に鑑定を依頼したり、裁判所に申し立てをするなど、面倒な手続きや費用がかかります。
私がみる限りでは、後見人を付けざるを得ない場合、どうしても不動産を売りたいが売れないなど止むを得ない場合が多いように思います。
回答:氏家義博氏
―後見人制度の手間のサポートは、都や区にありませんか―
「ご自身でまだやれるけど、ちょっと心配」というような段階であれば、「あんしん北」という社会福祉協議会がやっている地域福祉権利擁護事業をお使いいただくことができます。
介護保険のサービスを利用していることが前提となり、日常的な金銭の出し入れなどの支援が受けられます。
本人に代わって何かをする制度ではなく、本人の意思に基づいてちょっと支援するものです。例えば、金融機関に行く時に同行するとか、介護保険サービスを使う時の契約に同席するといったサポートになり、社会福祉協議会の職員が審査に自宅に来て、認められればサービスを受けられます。
回答:藤井恭子氏
法的な手続きをしなければならない場合、費用はかかりますが後見人を立てるなど、きちんと手続きを踏めば、可能になることはたくさんあると思います。
回答:氏家義博氏
次回取材日記番外編 第3回「相続問題 ~税金以外にも知っておきたいアレコレ~」は2024年2月の掲載を予定しています。
ご期待ください!